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ニューヨーク的思考
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2012 年 3 月 29 日

カテゴリー:NYこのごろ

裁判で決着する米国

前にも話したようにアメリカには日本のような皆保険制度はありません。保険は個人個人が個々の会社と契約を結んで会社が支払うというシステムです。日本のように保健証が無いと言うことです。病気になったらどうするかって?保険会社と保険の契約をしていない人は自分ですべての治療費を支払うことになります。医療費そのものも米国は高く、ちょっとした健診でも400㌦(4万円)ほどは支払わなければなりません。
前に私の部下が盲腸の手術で入院した話をしましたね。あのときの請求額がおよそ3万㌦(300万円)。ものすごい請求額で盲腸の手術でこんなに請求されるとは日本の保険制度から考えればとても信じられません。この部下の場合はAIUと言う保険会社との契約があったので全額、保険会社の支払いで難を避けられました。
でも、一般的にはこの高額な保険の支払いができずにもめているケースが多々あります。定期健診なども保険が使えずに検診料が高い為に、自分からすすんで受けようとする人があまりいません。当然、癌などの早期発見ができず、治療が遅れると言う例が増えます。
  このような多くの問題を含んだアメリカの保険制度にオバマ大統領が皆保険制度の導入を試みています。この皆保険に入らない人には罰金を科す、と言うこの制度。日本と同じように進歩するように見えるのですが必要な人だけが保険会社と保険の契約を結ぶと言う現状に慣れたアメリカ人にとっては、強制的に支払わされる保険料は歓迎ではありません。
  オバマ大統領に反する共和党もこの制度に反対です。国が保険を強制的に売りつけることは違法としていくつかの州で裁判もありました。この保険論争、今週からいよいよ最高裁での審議に入り、違法であるかどうかの判断がされます。大統領選にも大きく影響するこの裁判の行方が注視されています。
  現状の保険会社との契約には大きな欠陥があります。ある一定額になると保険の支払いが無くなるというものです(Life Time Limit)。難病の人など契約金を使い果たしてしまって突然、保険がきかなくなってしまうのです。オバマ大統領はこの保険会社の一方的な規約を皆保険法の中で禁止ししました。この裁判に負ければこの禁止事項も消えます。困っている人のことを考えれば必要な法律のように思えます。個人主義の強いアメリカで人それぞれの思惑をまとめるには裁判所の判断しかないのかと考えてしまいます。

広域通信制高校 一ツ葉高校 校長

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