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ニューヨーク的思考
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2012 年 8 月 18 日

カテゴリー:NYこのごろ

100億円ぱあ

  前にも話題にしたニューヨークのタクシーです。ニューヨークではこの街の象徴の一つともなっている黄色いタクシー、Yellow Cab(イエローキャブ)が主流です。日本と同じように手を挙げれば止まって行き先まで乗せてくれるタクシーです。これとは別にLiverty Cab(リモ)というリムジンタクシーがあります。予約制で飛行場などに行くときに指定した時間に自宅などに来てもらうタクシーです。
  ニューヨークのイエローキャブは空車が少なく、つかまえるのは中々、大変です。イエローキャブはマンハッタンを中心に13,237台が走っています。十分そうな台数ですが、ニューヨークを訪れる多数の観光客も利用するため、タクシーは大幅に不足気味です。
  一方、リムジンタクシーは18,000台。このリモも拾えれば、少しはタクシー事情は和らぐのですが法律上、認められていません。リモはあくまでも予約専用で、空車で走っているときも通りの人を乗せることは違法です。ただ、このタクシー事情で朝などリモを拾って出勤している人は良く見かけます。乗る前に値交渉して乗ってますね。リモにはメーターが付いていないのでまず値段の交渉は必須です。
  イエローキャブを運転するにはMedalion(メダリオン)と呼ばれる営業許可書が必要です。タクシーの運転手でこのメダリオンを持っている人はまずいません。タクシーにはこのメダリオンを持つオーナーがいて、そのオーナーが運転手にメダリオンを貸しているという図式です。  このメダリオン、オーナーが株のように売買し、最近ついた値は$1 Milion 以上、つまり日本円で一つのメダリオンに1億円以上の値が付きました。タクシー不足の現状。大きな値が付くわけです。
  ニューヨーク市長のブルンバーグ氏はリモも往来で客が取れるようにし、またそれに合わせて新たにメダリオン2000コを発売する算段でした。この案には市議会の賛同を得ることができず、州知事に直接、談判し、知事のクオモ氏から承諾を得てスタート間近でした。
  面白くないのはメダリオンのオーナー、また競合が増えるタクシードライバーたち。裁判になったこの事例、本日、市長の負けと決断されました。市議会の承諾を得ていないこと、そのおかげでメダリオンから得る新たな収入の使い道がはっきりしていないことです。いかにも市民サービスの向上を狙っているかのようかの市長の案ですが、市はこの販売で100億円相当の臨時収入を見込んでいました。見込みが外れてどこで穴埋めをするか痛いところでしょう。
  増収につながる話だと市と州はすぐに協力し合います。分かりやすいシステムですが、タクシー運転手の生活など関係している人のことはあまり考えず、ずいぶんと乱暴だと思ってしまいます。

広域通信制高校 一ツ葉高校校長

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