全米ライフル協会(NTA) 2012 年 12 月 22 日
あの悲惨な乱射事件から1週間たった今日金曜日にNRA(National Rifle Assosiation)、全米ライフル協会の代表が記者会見を開きました。一週間前、コネチカット州のSandy Hook小学校で20名の小学生と6名の学校関係者がハンドガンの乱射によって殺されました。全米で銃規制の動きとそれを認めようとしない全米ライフル協会への反発が広がる中、ライフル協会はコメント控えていましたがこの金曜日に代表のWayne La Pierreがコメントを出しました。
抗議団体からさえぎられながら出したコメントは20人の幼い小学生たちが犠牲者になったと言う痛ましい事件の直後にも関わらず、銃の保持を正当化し、原因を他に向ける内容です。事件直後とは思えないそのコメントの内容は”The only thing that stops a bad guy with a gun is a good guy with a gun”つまり、”銃を持った悪い奴を止めることができる唯一の手段は銃を持ったいい奴しかない” 銃は悪くないと言うライフル協会のポリシーを事件後もそのまま言ってのけました。人を殺すのは人であって銃でないと言うライフル協会のお決まりの文句です。詭弁です。しかもこんな事件の直後に言うような言葉ではありません。
その他にもこのような事件が起こるのは殺人をテーマにしたビデオのせいだとか。最後にはライフル協会は解決策としてどの学校にも銃を持ったガードマンを配置するように協力すると言うのです。彼が言うにはこのような事件はまた起こる、模倣犯が出る。だから銃を持ったガードマンが必要だと言うのです。これでは銃のセールスをしているのと変わりません。ホント、どこか正常の世界観が抜けている気がします。このような人が銃規制に対してストッパーになっているこの米国の実態に冷たいものを感じます。
この発言に憤りを感じた人は400万人を超す全米ライフル協会にも多数いるはずです。これを機会に銃規制に向かって米国が大きな一歩を踏み出すことを願います。
またも銃の乱射 2012 年 12 月 15 日
今朝、またも銃による惨事が起きました。ニューヨーク州に隣接するコネチカット州の小学校です。Sandy Hook Elementary Schoolで26人が死亡すると言う大惨事です。この26名の中の20名は5歳から10歳の小学生と言う痛ましさです。
犯人のAdam Lanza20才はこの学校の教師である母親を家で殺害したのち、ハンドガンを持って学校に侵入し、銃を乱射、後に自殺しました。このような銃による悲劇は何度も起こり、その度に取締りの声が上がるのですが、具体的な規制は中々出ません。
前にも話題にした通り、全米ライフル協会の米国議会への圧力が強く、銃を取り締まる根本的な策が取れていません。今回の凶器となったハンドガン、これも一時期は販売が禁止されていたものを全米ライフル協会のロビー活動で販売禁止の法律が期限切れとともに廃止となり今回の事件の一役を買ったように思えます。
今回のハンドガンは被告の母親が合法的に購入したものです。いくら合法的に購入されても、身内が犯罪に使えば意味がありません。”人を殺すのは人であって銃でない”をスローガンとする全米ライフル協会。このような罪のない幼い子供たちが殺されてもどうどうとこのスローガンを言うのでしょうか。オバマ大統領は記者会見で涙を隠しきれませんでした。そんな思いがあるのならオバマ大統領!銃の販売を禁止にしろ!この思いは多くの人が抱いていると思います。
大統領再選が決まり、次の再選は出来ないオバマ大統領選にはもうなにも恐れるものはないはずです。本当にこんどこそ英断をしてほしいと思います。この事件は2007年のVerginia Tech大学で起きた32名を射殺すると言う惨事の次に大きな事件です。米国が変わることを願ってやみません。
Assembled in USA 2012 年 12 月 7 日
USA産の有名な商品と言えば、みんなさんの多くが使っているi Phoneやi Pad。ご承知のようにアメリカApple社の製品です。実はアメリカの製品なのですが、生産地は中国。つまり、米国内や日本で販売されているi Phoneは中国製です。
i Phoneをお持ちの皆さんは裏の小さな英語表記を見ると Assembled in China.と言う文字が見えるはずです。中国で組み立てられた、と言う意味でMade in Chinaとは違います。i Phoneの部品のほとんどは日本製や韓国製です。Apple社が他国の企業に発注してそれを中国で組み立てる。そして出来上がった商品を米国や日本で中国から輸入すると言う仕組みです。
何故、このようなことをするのか、中国の人件費が安かったからです。ところが中国の人件費は上がり、中国人従業員との問題も勃発。Apple社のCEO Tim Cookは来年、中国での生産をUSAに戻す計画だと発表しました。iPhone やMacコンピューターのヒットで中国に生産拠点を置きながら米国内でも60万人の雇用を実現したApple社。USAに生産拠点を移すことで米国の雇用はますます安定し、景気回復に一助買うことは間違いありません。
オバマ大統領が再選し、中国などの海外にある大手企業の生産拠点を米国内に戻すことが大きな政策の一つになっています。米国は中国への技術流出もずいぶんと心配しておりその政策に企業が呼応した形です。この先、他の事業も次々と米国内への生産拠点移動が活発になると思います。中国への対決姿勢を強める米国。今後も中国との摩擦は避けられない模様です。
ニューヨークショービジネス 2012 年 12 月 4 日
ニューヨークと言えばショービジネス。タイムズスクウェアの一角から始まるブロードウェイは世界に知れ渡るミュージッカルの名所です。リーマンショック以後の米国の景気後退からこのブロードウェイも一時期は客足が途絶え、踊り子なのどのアーチストが職を失うと言う深刻な事態が続きました。
最近は米国の景気も復調しブロードウェイにも活気が戻ってきました。ここ1年でブロードウェイを訪れた人たちが1300万人近くとなり、近年で最高の収益を上げたようです。タイムズスクエアはニューヨークの中で一番活気のある場所です。そこにあるブロードウェイに元気が戻ってきたのはニューヨークに元気が戻ったのと同じです。
今更ながらですがニューヨークは観光都市です。NY証券取引所があり、国連の本部があり、世界各国の銀行や商社の支店がある。ミッドタウンでは世界各国から来ているビジネスマンであふれている。それだけでなく最新のファッションの発信地でもあると、観光地であることを忘れてしまいそうです。
NYC(ニューヨーク市)は観光収入にも力を入れ、映画などの撮影誘致にも熱心です。勿論、観光による収入は市の大事な財源だからです。実はニューヨークを訪れる観光客でもっとも多いのは他州からの米国人たちです。アメリカの景気が悪ければ当然、ニューヨークを訪れる人も減る。ニューヨークの活気はまさにアメリカの景気をそのまま反映します。ブロードウェイを訪れた1300万の人の63%が米国内からの観光客でした。その中の3分の2が女性です。米国の女性にミュージカルが根強い人気であることが分かります。米国の景気が上向きならブロードウェイの客が増える。分かりやすい尺度かもしれません。
感謝祭 2012 年 11 月 21 日
11月22日、明日は感謝祭です。七面鳥にとっては受難の日となります。この感謝祭とは全く別の話題になりますがFisical Cliff(財政の崖)と言う言葉を最近よく聞きます。
2000年に大統領に就任したブッシュは富裕層を中心に恩恵がある大型減税を行いました。累進課税の上限を39.6%から35%、株の配当による所得は39.6%からなんと15%に減額。中間層も年間700ドルほどの減税としました。この減税の法律が今年の年度末に失効します。実質の増税となってしますので消費がしぼむことが心配されています。
ブッシュ政権の後を継いだオバマ大統領は2011年の議会で予算を通すためにBudget Control Act of 2011(財政管理法)にサインしました。日本と同じ”ねじれ国会”になっている米国。共和党の反対を何とか抑えるための苦肉の策です。この法案は2013年から10年間で1兆2千億㌦(120兆円)の歳出を減らすというものです。これが実行されれば防衛費を中心に2013年だけで6070億㌦(60兆円)もの予算がカットなり、国内消費がしぼみます。すでにロッキド社やボーイング社は大幅なリストラを宣言しています。
このブッシュ減税の終わりと財政削減が同時にやってくる危険性を財政の崖と呼んでいます。この年末までにこの2つを何とか解決しなければ米国の景気は後退するでしょう。ねじれ国会の中、民主党が共和党の協力を得れるかが大きなポイントなります。
新興国に投資していた企業は新興国の通貨をドルに換え、不景気に備えようとしています。おかげで米㌦は徐々に値を上げています。日本にとっては円安を招き、悪くないのですが、米国の景気が冷え込めば元も子もありません。100万人の雇用が失われてしまうという財政削減、オバマ政権の正念場です。
木曜日の感謝祭の次の日はブラックフライデーと呼ばれ大手家電店やスーパーなどが大安売りを行います。ブラックとは、黒字のことを意味し、この日は売り上げが伸びて儲かると言う意味です。クリスマス商戦の幕開けです。ところが多くの店ではこの売出日を前倒しして明日の感謝祭から始めると言う異例の事態となりました。不景気に突入するのではないかと言う懸念からの前倒しです。再選されたオバマ大統領の手腕を見守るしかありません。
広域通信制高校 一ツ葉高校 校長
巨大クリスマスツリー 2012 年 11 月 14 日
ニュージャージー州を出発したクリスマスツリーが50マイル(100km)離れたロックフェラーセンターに本日、水曜日にやってきます。ご承知のようにニューヨークのクリスマス風景はロックフェラーセンターの巨大なクリスマスツリーとスケート場に象徴されます。
去年のクリスマスツリーはペンシルバニア州から伐採されたものでしたが今年はお隣のニュージャージー州からです。82フィート(28m)もあるこの巨大なクリスマスツリー。実はヘリケーンSandyが来る前に今年のクリスマス用と指定されていてハリケーン被害のひどかったニュージャージー州で無事かどうかと関係者をひやひやさせましたが、家が倒壊したりする中、無事に生き延びていました。
米国では来週11月22日(木)から感謝祭に入り、大型の連休となります。昔は宗教的な意味合いがあった感謝祭も今では、家族が集まって食事をすると言うクリスマス前行事のようになっています。感謝祭の週は多くの人が故郷に帰るため、道路や飛行場などは年間でも一番混み合います。
ニューヨークではMacys(メーシーズ)と言う老舗のデパートが大型の風船を使ったパレードを行い、市民の目を楽しませてくれます。感謝祭が終わると一気にクリスマスモードでニューヨークは一足先に年末に入った感じです。ロックフェラーセンターのクリスマスの点灯式は感謝祭終了後の11月28日です。ツリーを飾る4万5千個ものライトが点灯します。点灯式では朝から多くの人が列を作ってその瞬間を眺めようとします。年末の足音がします。
広域通信制校 一ツ葉高校校長
ハリケーンその後 2012 年 11 月 6 日
ハリケーンSandyのニューヨーク直撃は予想以上の被害を及ぼし、水害、停電と先週一週間は全く経済活動ができない状態となりました。公立の学校も先週月曜日から金曜日まで丸一週間の閉鎖となり、PCTECHもその都度、状況によって毎日、開校か閉鎖かの判断をしてきましたが、地下鉄が復旧できない週となり、まる一週間休校となりました。開校13年目を迎えるPCTECHですが1週間の休校に追い込まれたのは初めてです。
ニューヨークのインフラは非常に古くまた、海岸沿いにあるために大雨には本当に弱いインフラです。今回のような大きなハリケーンでなくとも突然の集中豪雨で道路が水浸しになったり、地下鉄が洪水のために不通になることは珍しくありません。ニューヨーカーの誰しもがハリケーンSandyによって地下鉄は不通になると予測したでしょう。だけどそれが1週間も続くとは想定外でした。
ニューヨークの中心はマンハッタン島ですが多くの働き手がクイーンズやブルックリン、ブロンクスから地下鉄で通勤します。地下鉄ストップ=経済活動の断絶、と言っても過言ではありません。洪水と強風による電線の断絶から停電も予想以上に長く続きました。マンハッタンの南の地区に電気が復旧したのは先週末です。5日ほど電気無しの中心部もありました。前にも書きましたが、停電で深刻なのは水道が出ないことです。水も飲めなければトイレを流すことも出来ません。高層住宅が多いマンハッタンで30階以上に住む人もいる中、エレベーターが使えない状態は監禁状態と同じです。
駐車場の不足から路上駐車をしている多くの車は洪水で沈没したり、倒れた木の下敷きになったりと尋常ではありません。停電によって医療補助装置が切れて死亡した人もいます。ニューヨークで70名以上の死者を出したこのハリケーン。本当に大きな爪痕を残しました。ニューヨークは世界に有する大都会ですが大陸性の激しい気候に位置する米国の一部には変わりありません。
PC TECHは今日から学校を再開することが出来ましたが、まだ地区によっては学校にこれない生徒もいます。バスなどの交通渋滞も激しく、ニューヨークの交通が依然通り元に戻るまではまだまだ時間がかかりそうです。
明日はハリケーンの災害の中、大統領選が行われます。ハリケーンの対応に対してはオバマ大統領は一定の評価を得ていますがロムニー候補とのさはわずか。大統領選挙は州ごとの勝ち負けで決まります。Swing Stateと呼ばれるどちらの候補に票が回るのか分からない州の動向が注目されています。
ハリケーン、大統領選挙と目まぐるしく世情が替わるニューヨークです。
避難命令 2012 年 10 月 29 日
ハリケーンSandyの上陸による避難命令が市長より出ました。海や川に近い住民は避難しなければなりません。10数年、ニューヨークで生活していますがハリケーン到来による避難命令は初めてです。マンハッタンの中でもバッテリーパーク近くやイーストサイドと海岸に近い地区は避難をしなければなりません。本日日曜日夕方の7時をもってバスや地下鉄もストップとなります。月曜日は学校を含め、すべての公共のサービスは中止です。車の運転を含め、外に出ないようにとの勧告が出ています。避難シェルターも設置されました。ハリケーンのインパクトによる停電も心配です。PC TECHも休校を決めました。無事にハリケーンが通り過ぎるのを祈るだけです。
ハリケーンが直撃する! 2012 年 10 月 28 日
ニューヨークに大型のハリケーンが近づいています。ニューヨークにハリケーンが到来することはめったにありません。カリブ海で派生するハリケーンはフロリダに上陸した後、勢力を若干弱めながらその方向を西のテキサスや南のメキシコへと向かうパターンが多いのですが、今回のハリケーンSandyは東海岸を北上しています。
昨年もハリケーンが東海岸を北上しニューヨーク市にも警戒令が出ました。昨年の場合、ニューヨークをかすめて北上したハリケーンは勢力を弱め大型の台風化して北上しました。それでも雨風は相当強く、クーラーの室外機を通して床に雨が入ってきていました。
今回のハリケーンSandyはフロリダを北上した後、ニューヨークで西に進路を変え、ニュージャージ州方面へと向かうニューヨーク直撃コースです。ニューヨーク州のクオモ知事は先日、警戒令を出しました。直撃に備え食料やバッテリーなどの備品を購入する人たちが多く、スーパーには列ができています。特にマンハッタンは海に囲まれた島です。ハリケーンによる雨と風で河が氾濫し洪水が起こることが心配されています。
Sandayは月曜日から水曜日にかけてニューヨーク市を駆け抜ける予定です。市長は今日の夕方、月曜日に学校等を閉鎖するかどうかの指示を発表します。地下鉄とバスを管理するMTAは早くもContingency Planを発表し、日曜日の夜から地下鉄やバスの本数が減ると宣言しています。当然、ハリケーンが直撃する日は公共の交通機関は全面ストップとなります。
公園などは木が倒れたりする危険があるので立ち寄らないようにと警報が出ています。被害が少なく終わればよいのですが、私的には近くのイーストリバーが氾濫しないかと心配です。氾濫すれば地下の駐車場の車が水浸しになってしまいます。PC TECHも本日夕方の情報を基に閉校の日程を決めます。
大統領選3週間前 2012 年 10 月 18 日
昨夜、オバマ大統領と共和党の大統領候補のロムニーによる第二回目の討論会がニューヨーク州でありました。第1回目で劣勢に立たされたオバマ大統領の支持率奪回を狙う一戦として注目されていました。
今回は前回のデンバーではおとなしくロムニーの発言を聞くオバマ大統領とは打って変わり、ロムニー氏の発言途中から発言を遮り、自分の意見を展開するという非常に攻撃的な戦術に打って変わりました。
この討論会は今、米国の抱える様々な問題を提起し、それに対するそれぞれの大統領候補が戦略と戦術を明快に述べる。どちらが問題対処のリーダーとして適しているかをTVを通じて国民に問うと言ういわば対決版です。
大統領選挙を3週間に控えたこの討論会はその投票の行方を左右する大切なものです。民主党の地盤、共和党の地盤と言う州がありますがどちらに転ぶか分からないSwing State(揺れる州)を自分の票にするかが当選での大きなポイントとなります。
討論の内容は米国が抱えている一番の問題ごとである景気回復による雇用問題からはじまり、女性の雇用論、宗教観からくる妊娠中絶の問題、銃による乱射事件、ガソリン高の対策、そして国防の問題までと90分にわたり幅広く討論が行われ、持論を戦わせ、また相手の弱点を責めるという戦法です。
第1回目の討論会で優勢だったロムニー氏はオバマ大統領を大統領とは呼ばずYOUと名指しし、挑発的です。ただ今回はオバマ大統領もロムニー氏の失言を責めたりと相当に挑発的です。
今回の討論会の終わりの集計ではオバマ大統領が支持率を上げ、マスコミもオバマ大統領の勝利だと表現しています。
このような討論会を経て米国民は大統領を選ぶ基準をなんとするか。政策の違いは明らかにありますが、それは民主党と共和党の政策の違い。米国民はこの討論会を見てどちらが強いリーダーかを見極めます。その判断を意識するから両名とも大統領の気質を討論を通じてアピールします。強いアメリカを作るには強いリーダーが必要。米国民は政策以上にその人物の資質を見ます。
日本のように政党が選ぶ首相ではなく国民が選ぶ大統領。日本もそうならやはり強いリーダーを選びますよね。このアメリカの大統領選挙のシステムは本当にうらやましく思います。
大統領選の最後の討論会は来週の月曜日です。
広域通信制高校 一ツ葉高校校長