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ニューヨーク的思考
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2013 年 7 月 26 日

カテゴリー:NYこのごろ

Small Court

 米国の弁護士の数は日本と比べて破格に多いです。日本より訴訟の数が多いと言うことと、移民が多いため、移民法に関わる弁護士が多いのが理由です。何かもめごとがあるとすぐに訴訟に持ち込むのが米国の特性。その際は弁護士に相談せざるを得ません。弁護士も競争が激しく、TVでのコマーシャルも頻繁です。移民の問題可決を売り物にする弁護士、事故や医療訴訟の代行を売り物にする弁護士、さまざまです。弁護士料金はその事務所によって様々ですがニューヨークの相場は1時間の弁護士料が400㌦前後(4万円)くらいです。電話で話しても請求額はかわりません。弁護士の時間をいくら使ったかによってその時間数とともに請求されます。何か問題があって訴訟騒ぎとなると、裁判経費や賠償支払いなどより弁護士代の方が大きくかかってしまう場合も少なくありません。
  すぐに訴訟する、と言うのは米国人の気質と言うより、この米国社会での慣わしの気がします。正義の決着は第3者につけてもらう。家賃の滞納やクレジットカードの滞納なども訴訟されます。この類は訴訟の前に料金回収会社から通知があり、それでも料金を納めないようなら訴訟すると言う流れです。このように訴訟ケースが多い事情の中、比較的小さな事例を取り扱うSmall Courtと言う制度が米国にはあります。正式の裁判のように弁護士も通すことなく直接、裁判所に料金の回収などを訴えるケースです。ここで取り扱う事案は3000㌦以下(30万円以下)と決められていますので大きな事案は提訴出来ません。
  決めれた日に当事者同士が言って事情を申し立てたり、証拠を提示したりし、裁判官が判断を下すというものです。下された判断はその後、裁判所から書面が送られてそれに従うと言うとても簡素なものです。もちろん、民事だけを取り扱うので刑罰はなく、判決は支払い命令か、支払いの必要なしとのことだけです。一見便利そうに見えるこの制度ですが、通常の裁判も多いニューヨークでは昼間は通常の裁判があるためにこのSmall Courtは夕方6時過ぎからとなっています。また、このSmall Courtでの裁判件数が多いために6時に呼び出されて、自分の番が11時近くになることもしばしばです。
 裁判に頼る決着、すすんでいるように聞こえますがやはり大変です。裁判にする前に問題解決を双方で行う方が賢く思えます。

広域通信制高校 一ツ葉高校 校長

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