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ニューヨーク的思考
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2013 年 10 月 7 日

カテゴリー:NYこのごろ

米国政府シャットダウン

米国の政府機関がシャットダウンして一週間が過ぎようとしています。政府のシャットダウンと言えば、警察官などをはじめ、途端に公務員がいなくなることを想像しますが、実際には徐々に予算がカットされて政府のサービスがなくなっていくと言うものです。
 米国は9月30日で第2回目の財政の崖を迎えました。法律により、9月30日に借金を返し、支出も少なくすると言うものです。この法律の施行を延長しない限り、国を運営する資金がなくなり、政府のサービスがなくなります。
 オバマ大統領をはじめ、民主党は財務規制施行を延期する法律を求めていますが共和党はそれに応じません。こうやって暫定予算法(2013年10月~2014年9月)が決まらない状態でとうとう、米国は政府のシャットダウンに追い込まれてしまいました。
 両党にとって政府のシャットダウンは望とことではありません。すでに数十万人の政府職員が自宅待機となり、ホワイトハウスの警備員も無給で働いていると言う異常事態です。このままこの状態が続けばビザの発給なども止まり、市民生活はもちろん、米国の経済活動に大きな支障をきたしてしまいます。
 政府シャットダウンは17年ぶりです。今回のシャットダウンの原因、つまり共和党が暫定予算案を認めない訳はオバマケアと呼ばれる国民皆保険の導入です。
 米国には基本的に保険はありません。私たちの給与から保険に関して引かれるのはメディケアとメディカエイドと言われるもので前者は高齢者向けの保険、後者は低所得者向けの保険。ほとんどの人は自分で民間の医療保険に入らねばいけないのが実態です。会社が医療保険の面倒を見る例は少なく、個人の負担で保険を用意することが一般的となっている国です。そのため5000万人の国民が医療保険に未加入と言われています。
 オバマケアは10月1日にスタートし、国民皆保険を目指しています。政府は企業にも補助金を出し、この制度を全国民に適応しようとしています。10月1日から開設されたこの皆保険受付のウェブサイトは一時パンク状態となり、今でもアクセスは非常に難しい状態です。それほど国民に関心があるわけです。
 共和党は暫定予算法にこのオバマケアの完全実施時期を延期する法案を盛り込むように要求しています。彼らの主張は財政がひっ迫している折、オバマケアで更なる支出は許せないと言うことと、それより大きいのは保険を選ぶのは国民の自由であってそれを奪うのは社会主義に等しいと言う理屈です。米国民の中にはこの考え方が根強く、保険選択の自由は民主主義だと主張する人が多くいます。オバマ大統領は反響の多いこのオバマケア、予算を盾にとって反対するなど茶番劇だと言うスタンスです。どこかで折り合いがつかねばこのシャットダウン、米国経済だけでなく、世界中の経済に大きな打撃を与えることになるでしょう。

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