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ニューヨーク的思考
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2012 年 3 月 26 日

カテゴリー:NYこのごろ

銃と人種差別

  フロリダで17歳の男の子 Trayvon Martin が射殺されました。このことが全米で大きな問題となっています。この射殺された男の子が武器を持っていない黒人だったからです。この事件はアメリカの根底にあって永遠と続く人種と銃の二つの問題を改めて米国民に問いかけています。
  銃による犯罪は珍しくない米国ですが全米中で関心を呼んでいるのは被害者が武器を所持しない黒人の男のであって射殺した白人がその場で逮捕されずに釈放されたからです。フロリダ州は2005年に”Stand Your Ground Law”と言う、自己防衛であれば殺しても構わないという法律が制定されています。この法律は自宅の中でも外でも適応されます。容疑者のGeorge Zimmerman はペルー人の母親を持つ28歳の自警団です。夜中に黒人のこの男の子を見かけた彼は不審に思い、警察に通報。警察がとどまるように言ったにも関わらず男の子を追跡し、射殺してしまいました。
  Zimmerman の供述は途中で追跡をやめて自分の車に戻っていたところ、この男の子が戻ってきて乱暴をはたらいたから発砲したとのことです。それならば、まず逮捕すればこのような全米中での大きな問題にまではならなかったはずですが。この Stand Your Ground Law と言うのはその現場で警官がそのケースは自己防衛であったのかどうかを判断できるのです。
  このケースの場合、自己防衛と判断され加害者は逮捕されずに帰りました。この判断が人種差別と捉えられ、大きな問題となっています。なぜ、逮捕しなかったのか、白人が加害者で黒人が被害者だったからかと言う世論です。加害者は殴られて身の危険を感じたと言っていますが世間は信用しません。 Black Pnther という黒人の団体がこの加害者に1万㌦の懸賞金をかける始末です。この事件についてオバマ大統領までが被害者のように自分の子供も事件に会うかもしれないと発言して大きな議論を呼んでいます。
  米国に住むとこの”差別”は簡単にはなくならないと日常生活で感じることはよくあります。銃もなくなりそうにありません。本当に自由で明るい米国ですがこの根底ある2つの問題はことあるごとに浮上しては人々にこの国の原点を考えさせます。

広域通信制高校 一ツ葉高校 校長

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