カテゴリー:NYこのごろ
大統領の特権(Executive Order)
先日、オバマ大統領が移民に関するポリシーの変更を発表しました。米国は数多くの移民者がいます。先日発表されたポリシーの変更はこの移民の人たちの80万人に影響が及ぶものだと言われています。金曜日の昼過ぎにホワイトハウスからTV生中継で大統領の特別宣言が発表されました。米国の中でもニューヨークは特に移民の多い地区です。この発表を多くの人が見ていました。
違法滞在をしている移民に対して強制送還を見送ると言う内容のものです。前にもこの移民問題につては触れましたが様々な事情から米国滞在に必要なビザが切れてそのまま、米国民と変わらずに働き、子供を育てている人たちが数多くいます。これらの人たちはいつか合法的な米国民になれるチャンスがあると信じて生活しています。
DREAM ACT(夢の法律)と言う、現在、滞在資格のない移民たちに米国市民権の道を与えると言う法案が可決を期待されていますが2年前に共和党の反対で却下となりました。共和党はこの移民問題に関しては厳しく対応する姿勢を見せています。
共和党の大統領候補Mitt Romneyも不法移民には厳しい姿勢を見せています。
民主党のオバマ大統領は大統領特権のExecutive Orderでこの法案を発表しました。このExecutive Orderは議会の承認を得ることなく法律を発令できるものです。過去の大統領が発令するたびにそれが憲法にそぐわぬ越権行為だと批判されていますが、いまだに憲法違反の判例はありません。
今回、オバマ大統領が発令したものは16歳未満で米国に入って現在30歳未満の若者に限り、その滞在を合法として認め、働く権利も与えると言うものです。市民権への道は言及しないものの働く権利は毎回更新でき、ほぼ永久に働くことができると言うものです。
共和党はこの特権を使った大統領の発令に猛反発しています。なぜ特権まで使用して法律を作るのかなのか?この秋の大統領選挙でラテン系の支持を得たいのがオバマ大統領の本当の狙いです。
不法滞在を続ける移民の人やその支援団体、またニューヨーク市長などは賛成の支持をだしていますが、もしオバマ大統領が選挙で負け、共和党の政権になるならばこの法律は白紙に戻るでしょう。オバマ政権は大統領の意図とは反対にこの3年間の間に100万人以上も強制送還を実行し、家族バラバラになるなどの問題を起こしています。
選挙のための法案と思うと気持ちが覚めるのは私だけですかね。
広域通信制高校 一ツ葉高校 校長