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ニューヨーク的思考
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2012 年 6 月 30 日

カテゴリー:NYこのごろ

オバマの勝利

  オバマ大統領はオバマケアと揶揄される皆保険を米国に導入しようとしています。米国には日本のような国民健康保険や社会保険の制度はありません。病気になったらどうするのか?前に私の部下が盲腸で入院した話をしましたね。彼のケースは自分で保険に入っていたので危ういところをセーフでしたが、保険適応前の請求額は300万円ほどになりました。
  米国では個人で保険会社と契約を結び、保険に入ります。保険料は高額なため、5000万人は何の保険にも加入していないと言われています。また、個人で契約した保険もつかえる限度があったりと、日本のような恵まれた環境ではありません。
  オバマ大統領は国民すべてに皆保険の加入を認める法律を可決しています。ただ、この皆保険制度には反対する国民も多く、オバマ政権の大きなマイナスポイントとなっています。米国は資本主義なのに国民全員に国が保険を売るとはけしからん。オバマ大統領は米国を社会主義へと導いている。と言うのが反対派の主張です。
  私もこの理論は分からない話ではないと思います。日本では長年支払ったた厚生年金が消えてなくなる目に合っています。今、また米国も個人と一会社の契約から日本流の画一的保険・年金の制度化へと進もうとしている。その結果を知っている私としては手放しで賛成する気にはなりません。ただ、貧しく保険もなくて、病気の治療も出来ない人がいっぱいいるのも今のアメリカの現状です。
  オバマ大統領が日本の現状を知っていたらもっと先まで打つ手を考えられたかもしれないと思ってしまいます。
  話は長くなりましたが共和党をはじめとする反対派はオバマケアは違憲であると最高裁への判決にその判断をゆだねていました。昨日、その判決が出ました。共和党のブッシュ元大統領が指名した裁判長が審議することもあり大方の見方が、即刻、違法の判決だろうとみていました。オバマ大統領も負けを覚悟していたようです。
  結果は予想に反して皆保険は合法であると言うことです。朝の10時くらいに発表になった判決はCNNニュースの報道の手違いもあり、負けと最初は報道されましたが真実は大統領の勝利でした。これで大統領選にも大きな弾みがつくことは間違いがありません。対する共和党のMitt Romneyは大統領に当選した後、その最初の執務の日にこの法律を廃案にすると言っています。皮肉なことに判決の夕方までにMitt Romneyには2億5千万円ほどの支援金が集まったそうです。さて、この判決の選挙への影響はどうなるのか、今から目が離せません。
  オバマケアが有効となるとニューヨークの未保険者300万人に保険の恩恵が来ることになります。

広域通信制高校 一ツ葉高校校長

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