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ニューヨーク的思考
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2012 年 7 月 25 日

カテゴリー:NYこのごろ

ICE POLICE(移民捜査官)

  ニューヨーク市は全米の中でも移民が多く、ブルムバーグ市長も”全米一、移民に優しい市(The most immigrant-friendly city in the nation)”と公言し、また”移民は歓迎する”とも公言しています。オバマ大統領も先月、30歳未満で16歳前に違法入国し、いまだ違法滞在をしている移民に対して合法を認め、合法的な働く権利を認めると発表しました。選挙前のラテン系国民に対する対策とはいえ、概ね、大統領も移民は認める向きです。
  そのような動きに対して実際は年間、数百万人の人が強制送還されています。アリゾナなど米国とメキシコの国境に近い地区などはこの移民法に関しては緩めるべきではないという見解です。それでも米国の流れは移民容認の向きにあるように思います。今週の月曜日に”Immigration Defense Project and Families”と言う団体からニューヨーク市の移民に対する実態報告が出ました。
  移民を統括する部門は非常に大きく、国家安全保障局(DHS, Department of Homeland Security)を傘にSEVIS, USCIS,US ICEと言うように様々な部門に分かれています。テロなどの不穏分子が他国から混ざることを一番警戒する米国ですが、それ以外に移民法に基づき違法滞在者を家族から引き離し追放すると言う乱暴なやり方が横行しています。その実行部隊がICE Police(Immigration and Customs Enforcement)です。
  月曜日に発表された報告によるとニューヨーク市に限ってみても2005年の10月から2010年の12月の5か年の間にICEによってニューヨーク市を追放された人は2万人。アメリカ国籍のある子供がいても、子供から引き離して追放している例も少なくありません。オバマ大統領やブルームバーグ市長が違法移民に対して寛容な態度を見せても現実はそうでないのは法の整備が整っていないからです。
  交通違反などの経歴から捜査を行い、強制送還をしています。寛容なアメリカの印象とこの官僚的なアメリカの実態。時として民主主義が大きくクローズアップされ、時として官僚主義が顔を効かせる。そんな国。ただ、この官僚による権力の遂行は権力者個人の考えによって遂行されているのが実態です。一旦権力を持てばその行使は個人の判断に委ねられる。これが米国流。ICEのこの強制送還は一部の権利者によって実行されているであって国の政策ではない。法の整備が進むか権力者の考えが変わらない限り、この実態は続くでしょう。

広域通信制高校 一ツ葉高校校長

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