ID 2012 年 4 月 5 日
アメリカの大学入試では希望大学にSAT(Scholastic Assesment Test) か ACT(The American College Testing Program) というテストを受験して報告しなければなりません。大学は願書で提出されるこの共通テストの点数で志望者の学力を検査します。大学進学を希望する高校生にとってはとても重要なテストになるわけです。
SATは年に7回実施され、受験生はその点数を志望大学に報告するわけです。昨年の11月実施のこの重要なSATで集団カンニングが発覚しました。高校のOBなどによる替え玉事件である生徒はこの替え玉受験料として3000㌦(30万円)を支払ったと言います。関係者は50人以上に及ぶと推測され30名が逮捕されました。
アメリカは日本以上に高学歴=よい就職=エリートという意識が強く、受験生も自分の将来をかけて必死に上位大学を目指します。そんな事情の中で発覚したこのカンニング事件。替え玉側はアルバイトの感覚だったようですが、卑怯な方法で合格を勝ち得ようとしたことには変わりありません。
SATの受験会場で本人確認が甘かった為に起こったこの事件。中には女性受験者の替え玉として男性が受験した例もありました。事態を重く見た当局は本人確認のためのIDを発行し、入室と退室ごとにチェックすることにしました。テロ対策としてID(身分証明書)を頻繁に要求するアメリカ。ビルに入室するにもIDが必要でまた、酒を買うにもIDのチェック。日常生活ではうんざりするほど提出が求められるID。今更になって大事なSATの試験会場にもIDを発行するとはなんとも信じられない違和感を覚えてしまいます。
広域通信制高校 一ツ葉高校 校長
Jwalk ジェイウォーク 2012 年 3 月 30 日
ニューヨークは観光地です。マンハッタンのグッデンハイム美術館が位置する89丁目付近より南がそのニューヨークの観光の中心です。マンハッタン内の南8丁目から北191丁目までは道路が碁盤のように縦横整然としているのでこの区間ならば指定された場所に行くことに迷うことはありません。
南北にAvenue(通り)が走り、東西に8丁目から191丁目までのStreet(ストリート)が走りその碁盤を形成しています。例えばPC TECHは42丁目ストリートとマジソン通りにあります。マジソン通りと42丁目の道が交差する場所にあると言うことで誰でも簡単にその場所が分かります。
南8丁目からもっと南に入るとストリートも入り組み、ストリートも〇〇丁目と数える表記ではなく”トーマスストリート”だとか”キングストリート”といった固有名に代わり、碁盤の目のような分かりやすさがなくなります。この南は果てがバッテリーパークでそこからは自由の女神を見ることができます。
このバッテリーパークと南8丁目の間にウォール街やソーホー、チャイナタウンなどの観光地がパックになっています。碁盤の目地区のセントラルパーク南に新しく通りを作る計画が進んでいます。碁盤の目地区に碁盤の目でなくなる新しい遊歩道が計画されているのです。
北の51丁目と南の57丁目を結ぶ通りを7月までに新たに作ることが決まりました。6番通りと7番通りの真ん中に作られるのでこの通りは7番と6番の中間の通りと言うことで”6と半分通り(Six Avenue and a half)”とあだ名がついています。
碁盤目地区を歩く目安はストリートとストリートの一ブロック間がおおよそ1分。通りと通りが5分くらいです。ニューヨーカーはせっかちが多く、信号を守る人のほうが珍しい気がします。車の合間を縫って信号が赤でも通りやストリートを横断する。このことをどうしてかジェイウォーク(Jwalk)と言います。マンハッタン内はほとんどが一方通行でこのJwalkをやりやすくしています。
今度新しくできる遊歩道、危険なJwalkが少なくなるという意見もありますが交通量の一番多いミッドタウンで歩行者専用の7ブロックにわたる通りは迷惑だとの意見もあります。
広域通信制高校 一ツ葉高校 校長
裁判で決着する米国 2012 年 3 月 29 日
前にも話したようにアメリカには日本のような皆保険制度はありません。保険は個人個人が個々の会社と契約を結んで会社が支払うというシステムです。日本のように保健証が無いと言うことです。病気になったらどうするかって?保険会社と保険の契約をしていない人は自分ですべての治療費を支払うことになります。医療費そのものも米国は高く、ちょっとした健診でも400㌦(4万円)ほどは支払わなければなりません。
前に私の部下が盲腸の手術で入院した話をしましたね。あのときの請求額がおよそ3万㌦(300万円)。ものすごい請求額で盲腸の手術でこんなに請求されるとは日本の保険制度から考えればとても信じられません。この部下の場合はAIUと言う保険会社との契約があったので全額、保険会社の支払いで難を避けられました。
でも、一般的にはこの高額な保険の支払いができずにもめているケースが多々あります。定期健診なども保険が使えずに検診料が高い為に、自分からすすんで受けようとする人があまりいません。当然、癌などの早期発見ができず、治療が遅れると言う例が増えます。
このような多くの問題を含んだアメリカの保険制度にオバマ大統領が皆保険制度の導入を試みています。この皆保険に入らない人には罰金を科す、と言うこの制度。日本と同じように進歩するように見えるのですが必要な人だけが保険会社と保険の契約を結ぶと言う現状に慣れたアメリカ人にとっては、強制的に支払わされる保険料は歓迎ではありません。
オバマ大統領に反する共和党もこの制度に反対です。国が保険を強制的に売りつけることは違法としていくつかの州で裁判もありました。この保険論争、今週からいよいよ最高裁での審議に入り、違法であるかどうかの判断がされます。大統領選にも大きく影響するこの裁判の行方が注視されています。
現状の保険会社との契約には大きな欠陥があります。ある一定額になると保険の支払いが無くなるというものです(Life Time Limit)。難病の人など契約金を使い果たしてしまって突然、保険がきかなくなってしまうのです。オバマ大統領はこの保険会社の一方的な規約を皆保険法の中で禁止ししました。この裁判に負ければこの禁止事項も消えます。困っている人のことを考えれば必要な法律のように思えます。個人主義の強いアメリカで人それぞれの思惑をまとめるには裁判所の判断しかないのかと考えてしまいます。
広域通信制高校 一ツ葉高校 校長
大都会マンハッタン 2012 年 3 月 27 日
ニューヨーク市はブロンクス、ブルックリン、クイーンズ、スタテンアイランド島、そしてマンハッタンと4つのブロックから成り立っています。この海に囲まれた4つを総称してニューヨーク市です。観光でよく知られているニューヨークは西89丁目のグッゲンハイム美術館から南になり、マンハッタンに位置します。
観光客が訪れるのはこのマンハッタンの89丁目より南の地が中心で、これより北では観光客はあまり見かけません。もちろん、観光客が訪れるソホーなどダウンタウンの観光地にも多くの市民が生活をしています。マンハッタンの89丁目から南は観光地と生活居住区が混在しています。
このマンハッタンの西側の225丁目で野生のシカが出現し、大騒ぎとなりました。公営住宅に現れた2頭のシカに警察が捕獲作戦を開始、住民はこの珍しい訪問者の写真を撮ろうと大騒ぎです。こんな都会の地にシカが出るなど珍しいことですが、今までにもコヨーテが出没したりなど野生の動物の出没の話題はよくあります。
マンハッタン内にはセントラルパークをはじめ多くの公園があります。公園内でおなじみなのは野生のリス。そして美しい歌を奏でる野鳥です。海に面する公園も多く、カモメやカモなども多くみられます。大都会のイメージのマンハッタンですがそれでも大きな自然を有するアメリカの一部です。摩天楼がそびえたつこの都市も野生の動物たちが生活するエリアと隣り合わせだと考えるとずいぶんとほっとした気持ちになれます。
広域通信制高校 一ツ葉高校 校長
銃と人種差別 2012 年 3 月 26 日
フロリダで17歳の男の子 Trayvon Martin が射殺されました。このことが全米で大きな問題となっています。この射殺された男の子が武器を持っていない黒人だったからです。この事件はアメリカの根底にあって永遠と続く人種と銃の二つの問題を改めて米国民に問いかけています。
銃による犯罪は珍しくない米国ですが全米中で関心を呼んでいるのは被害者が武器を所持しない黒人の男のであって射殺した白人がその場で逮捕されずに釈放されたからです。フロリダ州は2005年に”Stand Your Ground Law”と言う、自己防衛であれば殺しても構わないという法律が制定されています。この法律は自宅の中でも外でも適応されます。容疑者のGeorge Zimmerman はペルー人の母親を持つ28歳の自警団です。夜中に黒人のこの男の子を見かけた彼は不審に思い、警察に通報。警察がとどまるように言ったにも関わらず男の子を追跡し、射殺してしまいました。
Zimmerman の供述は途中で追跡をやめて自分の車に戻っていたところ、この男の子が戻ってきて乱暴をはたらいたから発砲したとのことです。それならば、まず逮捕すればこのような全米中での大きな問題にまではならなかったはずですが。この Stand Your Ground Law と言うのはその現場で警官がそのケースは自己防衛であったのかどうかを判断できるのです。
このケースの場合、自己防衛と判断され加害者は逮捕されずに帰りました。この判断が人種差別と捉えられ、大きな問題となっています。なぜ、逮捕しなかったのか、白人が加害者で黒人が被害者だったからかと言う世論です。加害者は殴られて身の危険を感じたと言っていますが世間は信用しません。 Black Pnther という黒人の団体がこの加害者に1万㌦の懸賞金をかける始末です。この事件についてオバマ大統領までが被害者のように自分の子供も事件に会うかもしれないと発言して大きな議論を呼んでいます。
米国に住むとこの”差別”は簡単にはなくならないと日常生活で感じることはよくあります。銃もなくなりそうにありません。本当に自由で明るい米国ですがこの根底ある2つの問題はことあるごとに浮上しては人々にこの国の原点を考えさせます。
広域通信制高校 一ツ葉高校 校長
グラセン 2012 年 3 月 21 日
グランドセントラル駅(Grand Central Terminal)が来年で操業100周年を迎えます。地下道でPC TECHに続くこの駅はマンハッタンを網羅する地下鉄のへそになります。また地下鉄だけでなくコネチカット州まで走る通勤用長距離列車メトロノース(Metro-North)のマンハッタン乗り入れの最終駅となります。通勤時間には多くの乗客が乗降するばかりではなく、その歴史的な景観からニューヨークにおける観光スポットの一つにもなります。
この趣のある駅は世界で6番目に大きな駅でその抱える44のプラットフォームの数(地下鉄は含まずメトロノースだけ)は世界一を誇ります。私たち市民が利用するときはGrand Central Station と呼ぶことが多く、一般的にこの名称でメトロノースの乗り場も地下鉄の乗り場もまとめて表現して使います。ジョントラボルタとデンゼルワシントンのサスペンス映画 Pelham123 の中でも出てきましたが、実はGrand Cenral Terminal と Grand Central Station は正式には全く別物です。
地下鉄の駅とメトロノースの駅はつながっていますが今度100周年を迎えるこの歴史的な建物は長距離通勤用列車メトロノースの駅のことを言うのです。昔はこの駅、Grand Central Station と呼んでいたのですが 1913年の正式オープン以来、正式名をGrand Central Terminal と変更しています。
それではGrand Central Stationとは何か。
実は正式にはTerminalの近くになる郵便局か地下鉄の駅のことを意味するのです。多くの人は地下鉄もメトロノースもひっくるめてGrand Central Station と親しみを込めて呼んでいます。この度、メトロノースの駅の建物が100周年を迎えることで新たに名称の違いに気づく人も多いでしょう。今から来年の2月1日の100周年に向けて1年間を通じての記念行事が予定されています。
この名所グランドセンラルは誰が言い出したか日本人の間では”グラセン”という名前で親しまれています。
広域通信制高校 一ツ葉高校 校長
51番目の州 2012 年 3 月 17 日
アメリカ合衆国は50の州で成り立っています。それぞれの州に独立権があり、州ごとに法律が違います。実はアメリカの公用語は英語であると憲法では定められていません。ただフロリダなどいくつかの州では公用語は英語であると定めています。
今年の11月に実施される大統領選で民主党のオバマ大統領の対抗馬として共和党からの候補者選びがデッドヒートしています。Mitty Rommey氏とSantorum氏が有力です。このサントラム氏がプエリトリコで公用語を英語にしなければならないと発言して反感を買いました。
プエリトリコは正式な州ではありません。キューバの北に位置するこの地区はその歴史的背景とアメリカの南米への政策からCommonwealthと言う特別地区として定められています。この島には400万人の住人が住み、米国への税金は免除されながら米国からは福祉を得るという特別な扱いをされています。
ただ、大統領選挙をすることは出来ません。そのかわりに米国国会の下院に1名の議員を送り出すことができます。でもこの議員には採決権はありません。本当に特別な関係の地区です。
住人は米国のパスポートを所持する米国市民です。住民の大半がスペイン語を話します。ここでサントラム氏が州に昇格したければ英語を公用語とするべきだと発言をしたのが問題になったわけです。大統領選挙ができないのでこの自治区で問題があっても大勢に影響はないように思えますが、大統領候補のなるためには共和党の代議員の半数1,144名の支持がいるのです。このプエリトリコにも23名の代議員が居ます。いくら自治区と言っても無視はできない地区です。
51番目の州に昇格するかどうか今年、プエリトリコでは住民投票があります。米国は United States of America, つまり州の集まり。独立した地区の集まりです。ニューヨークにも多くのプエリトリコ人がいますが彼らは米国民としてのプライドを持っています。広い米国だからこその特殊事情です。
広域通信制高校 一ツ葉高校 校長
移民のニューヨーク 2012 年 3 月 16 日
いつもの朝の日課ですが、イーストリバー沿いの遊歩道をジョギングした後、新聞を買いにデリーへと向かいます。前にも話しましたがデリーの経営は韓国系、中東系とほとんどが移民の経営です。デリーは日本のコンビニに近い品揃えで新聞や日用雑貨などを狭い店内に並べています。このデリーでは簡単な昼食や朝食が手に入ります。ベーグルやベーコン入りのパンなどが主な品ぞろえで、たいていの場合がデリーから出て食べながら歩くというニューヨークスタイルです。
タクシーの運転手も移民。ここニューヨークは種々雑多な民族の集まりです。ことばも共通語は英語でも韓国語、中国語、ロシア語といろいろな言葉が聞かれます。英語に次いで多いのがスペイン語。ヒスパニックの人口が増えている事情からスペイン語を話し人のほうが増えるかもしれないとまで言われています。TVもスペイン語の放映があります。
これら民族にはそれぞれに大きなコミュニティがあって同じ母国の人が助け合って生活をしています。このように他国からニューヨークに移民し、アメリカ国民となって家族を呼び寄せる。これが一つの流れとなってニューヨークの文化を作っています。このたくさんの移民が暮らすニューヨークですがこのパターンの日本人移民はみかけません。ここで暮らすほとんどの日本人が留学生や大手商社、金融などの駐在員。日本人コミュニティより駐在員コミュニティのほうが目につきます。これも日本が豊かで他の移民のように自分の国を出て米国での生活を目指す必要がないからかもしれません。
広域通信制高校 一ツ葉高校 校長
地下鉄 2012 年 3 月 15 日
ニューヨークはしっかり春で暖かい日が続きます。暖冬に終わってそのまま春に突入と言う感じです。週末にかけてサンダーストーム(雷を伴う激しい雨)になるようです。
ニューヨークの雨や雪は半端でなく、雨は一時的に降るものをシャワー shower、激しく降る場合はストーム storm を使用します。 Stormがつく天気の場合は要注意です。へたをするとこの大雨のおかげで地下鉄がストップすることがあります。
ニューヨークの地下鉄には日本のように時刻表がありません。昼間なら何十分も待つことはないのですが休日や夜遅くは本当にいつ来るかわからない状態です。地下鉄の乗り場は急行(Express)と普通(Local)に分かれていて急行を待っていてもなかなか来なくて、普通乗り場へ行って待つこともしばしばあります。分刻みにきちっとくる日本の電車のサービスから考えると信じられないかもしれません。
あるとき、朝の通勤でダウンタウンに向かう時に電車の中でアナウンスが入り、ひと騒ぎありました。みんな普通電車に乗っているのですが車掌が”この電車は今から急行に変わります。51丁目には止まりません”と言い出すのです。びっくりするアナウンスですがどうしようもありません。みんな”Oh my God !”とか”Shit !”とか叫びながら次の駅まで乗っていました。日本では起こらないようなことが平気で起こるニューヨーク。交通の運営もシステムに任せるのではなく個人の判断のほうが強いようです。
広域通信制高校 一ツ葉高校 校長
ニューヨークの職種 2012 年 3 月 12 日
前にも話しましたが、マンハッタンの中で自分の車を自分で洗うなど出来ません。日本のように洗車場があって、自分で手洗いするような場所はありません。マンハッタンに住むニューヨーカーは自分の車をCar Washに持って行って洗ってもらいます。
私はマンハッタンの北、イーストハーレム東の109丁目の洗車場に車を持っていきます。ハーレムの始まりの場所でもう少し北に行って140丁目あたりになると白人はほとんど見かけなくなり黒人ばっかりの地域となります。
ハーレムでも東側は特に犯罪も多く危険です。140丁目を境にして街の雰囲気ががらりと変わり、40丁目付近のマンハッタンダウンタウンとは全く違います。まず、背広を着ている人はみかけません。高いビルも姿を消しています。
そんなハーレムのはじまりにある洗車場に車を運ぶとたくさんの従業員がベルトコンベア式に車を洗ってくれます。最後には7人で1台の車をふきあげます。この従業員たちはラテン系の人ばかりです。
このCar Wash、労働条件が問題となっています。科学洗剤による健康阻害、それに対する会社からの保険の保証がないとかチップを会社がとる、賃金が低すぎるなど。Car Wash New York と言う団体がこの不満を代弁し、組合に発展する模様です。ニューヨークの職種は人種で決まっている節があり、デリーは中東系か韓国系。新聞スタンドはインド系、タクシーの運転手はさまざまな国の移民。統一していえるのがこのような職に白人がいないこと。ニューヨークではこのような移民系の職の発言権が低いのもうなづけます。
広域通信制高校 一ツ葉高校 校長