Christmas 2013 年 12 月 23 日
クリスマスシーズンです。米国は日本と違い、正月の時期がありません。12月31日のカウントダウンが終わると次の1月1日はHappy New Year Dayで祝日ですが1月2日からは平常通りのビジネスに戻ります。銀行も学校もオープンです。
日本でいう正月三が日などの感覚はなく、門松や神社参りと言う風習も当然ない味気ない正月です。と言うか正月そのものがない国です。日本人の私にとってはニューヨークでの正月はつまらなく、日本の正月が懐かしくなります。
米国はその正月の代りに年の変わり目の行事として、10月のハロウィーンに始まり、11月の感謝祭とこの時期からビジネスもスローになり、人々はクリスマス、年末に向けて、ホリデーシーズンに入ります。会社も先週の金曜日、12月20日あたりから休みになるところもあります。公立の学校は12月23日(月)から1月1日までは休みです。日本でいう冬休みと言う感覚ではありません。聖なる日に合わせた宗教的意味合いの深い休みとなります。
人々は故郷に帰り、このクリスマスの前後を家族と過ごす。日本での恋人同士がロマにチックに過ごすクリスマスとはかなり意味合いが違います。クリスマスは家族で過ごす、これが米国流のクリスマスです。11月の感謝祭には七面鳥を料理するのが慣わしですが、クリスマスに特別な料理はありません。家庭のお母さんの手作り料理がメインです。クリスマスケーキの習慣もありません。もちろん、デザートでケーキを食べることはありますが・・。
日本はハロウィン、感謝祭、クリスマスと米国の行事を日本流にアレンジして楽しんでいます。年末に楽しい行事が多くHappyな気持ちになれることはいいことだと思います。宗教感の薄いこのような行事、私にも馴染めますがキリスト色の強い米国のこのシーズン、どうも本当に溶け込むのは難しいと毎年、感じてしまいます。
広域通信制 一ツ葉高校校長
車検 2013 年 10 月 24 日
ニューヨークにも車検があります。日本の場合、新車なら購入して3年目に車検。その後、2年ごとに車検を受けることになっていますね。この車検、日本では安くても10万円くらいはします。ニューヨークの車検は毎年あります。ただ、一般的なチェックをして38ドル(3800円)で済みます。調べる内容がまるで違うのでしょうけど、日本の車検は高すぎます。場合によっては20万円近くもします。まあ、安全生から言えば日本が上なのかもしれませんがやっぱり高すぎます。
日本では車は販売店で買いますね。トヨタならトヨタの販売店があってそこで車を購入し、修理や車検なども購入した販売店が面倒を見ると言う仕組みですね。車を購入するとき、お気に入りの車種が販売店になければ販売店が手配してその販売店通しで車を購入できると言うシステムです。ニューヨークにもメーカー別に販売店がありますが車の売り方が日本とは事情が違います。販売店はあらかじめメーカーから先に車を購入してそれを顧客に売ると言う形です。つまり白の車がほしくてもその販売店に白がなければ他の色の車を購入するか、白を持っている別の販売店を探すかするというパターンです。
10数年前になりますが、当時、どうしてもトランザムの最終生産の車種がほしく、結局インターネットを使ってメールで希望の車種を尋ねました。色々、メールしている中でブロンクスのイタリア系販売店にその車種があることが分かり買いに言った覚えがあります。目当ての車種には会えましたが色を選ぶことはできませんでした。今となっては私の愛車でそのネービーブルーの色も気に入っていますが本当は白が目当てでした。
このような販売店別にそろえている車しか購入できないのですが修理となると事情が違います。日本ではメーカー別に販売店へ修理を委託しますが、ニューヨークでは近くにあるBody Shop、車の修理工場に委託するのが一般的です。車検もここでやります。この修理工場ではアメ車から日本車、ポルシェやフェラーリなどの高級車などありとあらゆる車種の修理を行います。世界中のすべてのメーカーの車のパーツが手に入るのです。もちろん車の専門パーツ屋がいるわけですが、すべての車種を用意できるとはさすがアメリカ、スケールの違いとそのおおざっぱな心意気を感じます。車の維持費が日本より少ないのは車は生活上必須の道具でぜいたく品の感覚がない米国だからでしょう。
米国政府シャットダウン 2013 年 10 月 7 日
米国の政府機関がシャットダウンして一週間が過ぎようとしています。政府のシャットダウンと言えば、警察官などをはじめ、途端に公務員がいなくなることを想像しますが、実際には徐々に予算がカットされて政府のサービスがなくなっていくと言うものです。
米国は9月30日で第2回目の財政の崖を迎えました。法律により、9月30日に借金を返し、支出も少なくすると言うものです。この法律の施行を延長しない限り、国を運営する資金がなくなり、政府のサービスがなくなります。
オバマ大統領をはじめ、民主党は財務規制施行を延期する法律を求めていますが共和党はそれに応じません。こうやって暫定予算法(2013年10月~2014年9月)が決まらない状態でとうとう、米国は政府のシャットダウンに追い込まれてしまいました。
両党にとって政府のシャットダウンは望とことではありません。すでに数十万人の政府職員が自宅待機となり、ホワイトハウスの警備員も無給で働いていると言う異常事態です。このままこの状態が続けばビザの発給なども止まり、市民生活はもちろん、米国の経済活動に大きな支障をきたしてしまいます。
政府シャットダウンは17年ぶりです。今回のシャットダウンの原因、つまり共和党が暫定予算案を認めない訳はオバマケアと呼ばれる国民皆保険の導入です。
米国には基本的に保険はありません。私たちの給与から保険に関して引かれるのはメディケアとメディカエイドと言われるもので前者は高齢者向けの保険、後者は低所得者向けの保険。ほとんどの人は自分で民間の医療保険に入らねばいけないのが実態です。会社が医療保険の面倒を見る例は少なく、個人の負担で保険を用意することが一般的となっている国です。そのため5000万人の国民が医療保険に未加入と言われています。
オバマケアは10月1日にスタートし、国民皆保険を目指しています。政府は企業にも補助金を出し、この制度を全国民に適応しようとしています。10月1日から開設されたこの皆保険受付のウェブサイトは一時パンク状態となり、今でもアクセスは非常に難しい状態です。それほど国民に関心があるわけです。
共和党は暫定予算法にこのオバマケアの完全実施時期を延期する法案を盛り込むように要求しています。彼らの主張は財政がひっ迫している折、オバマケアで更なる支出は許せないと言うことと、それより大きいのは保険を選ぶのは国民の自由であってそれを奪うのは社会主義に等しいと言う理屈です。米国民の中にはこの考え方が根強く、保険選択の自由は民主主義だと主張する人が多くいます。オバマ大統領は反響の多いこのオバマケア、予算を盾にとって反対するなど茶番劇だと言うスタンスです。どこかで折り合いがつかねばこのシャットダウン、米国経済だけでなく、世界中の経済に大きな打撃を与えることになるでしょう。
正義 2013 年 10 月 4 日
ニューヨークで銃を使った事件は毎日のように起こります。ニューヨーク市だけで犯罪絡みで殺される人が年間600人もいるわけですから日々、銃の事件が報道されても不思議ではありません。ニューヨークの暴力は銃だけではありません。最近繰り返し報道されているのがバイクの集団による暴行事件です。
数十台のバイクに前後、両サイドを囲まれた車がバイカーにとまれの指示をされる。この様子は一人のバイカーのヘルメットに着けていたビデオで一部始終が撮影され、何度もTVで放映されました。車の前のバイカーがわざとゆっくり走行し、車を止めようとする。その瞬間、車は猛加速してバイクを撥ね飛ばし、逃走する。怒った数十台のバイカーたちが追跡、バイカーの一人がナイフで車のタイヤを切り、車は街中でストップ。バイカーがストップした車の窓を割り、殴り倒して車の運転手の顔を切りつけると言う事件です。
車が跳ね飛ばしたバイカーは意識不明でおそらく二度と歩けないとの診断。この事件、警察は車の運転手の正当防衛を認め、運転手の刑罰は問わない姿勢です。バイカーの当事者は逮捕されました。車には2歳の子供と奥さんが乗っており、彼らを守るための行為であったと言う判断です。
米国ではこの種の白黒の判断が非常に早い。昨日は心の病を持つ34歳の女性が何を思ったか首都ワシントンのホワイトハウス前の道路を逆走、制止する警備員を跳ね、ホワイトハウスに向かうと言う事件がありました。このような事態の警察の行動は決まって銃による射殺です。警察に追い詰められた車はパトカーにぶつかりストップ。それを狙って複数の警察官が銃で発砲し、問答無用で射殺する。
ニューヨークでちょっと前に起きた事件も同じです。タイムズスクエアで銃らしきものを振り回している男を複数の警官が射殺。あとで銃でないことが分かる。それでも現場で即座に白黒を判断する。そういう規則(プロトコル)になっています。日本の警察のように上部の判断を仰ぐ前に正義の白黒をつける。
このような正義の判断や銃を使った解決方法は憲法で保障されている自分の命は自分で守ると言う精神から来ているように思います。銃規制でいつも問題になるこの憲法2条ですが、深く米国の社会に浸透しているように思います。
それでも平和的に解決できる方法があるように思えてなりません。
市長選その後 2013 年 9 月 20 日
決選投票(Runoff)を宣言していたBill Thompsonは月曜日に1位のBill de Blasioを支援することを発表し、事実上、決選投票はなくなり、Primaryで1位を制したBill de Blasioがニューヨーク市長の民主党候補と決まりました。
Bill de Blasioは市長の有力候補であったQuinn氏やビルクリントン元大統領、ヒラリークリントン国防長官の支援も取り付け、11月の市長選に向けて準備を進めています。
ですがPrimary選挙から8日たった今も得票数は正式確定していません。選挙委員会は水曜日の時点でようやく古い選挙箱5,059と緊急事態における投票をあわせて8,415の追加カウントを終了しました。結果はBill de Blasioの優位性を若干あげて40.88%。しかしながら不在投票や海外投票を含む68,000票のカウントはまだです。選挙委員会はこのカウントがいつ終了するのか目途がたたないと説明しています。
米国の選挙はこのような曖昧な部分があってスッキリしません。2000年の大統領選挙はジョージWブッシュとアルゴアの対決となり、フロリダ州の開票結果が明暗を分けることになりました。フロリダ州の選挙委員会はジョージWブッシュが1000票の差でゴアを破ったと発表しましたがその後、開票のずさんさが発覚。ゴア側が票カウントのやり直しを主張し、フロリダ州最高裁は投票の数え直しを命令しました。
当時のフロリダ州の知事はブッシュの弟。色々な憶測を呼びながら再カウントは進み、リードしているブッシュとゴアとの投票の差は300強まで縮まりました。
ここでブッシュ陣営は連邦裁判所にフロリダ州の最高裁命令の投票数え直しは憲法違反と訴え、連邦裁判所は票の数え直しは違法と判断。2000年11月7日に行われた大統領選挙は同年12月12日の連邦裁判所の司法判断でブッシュの勝利と決定しました。
なんか、納得がいかないでしょう?本来、民意を反映した票で決まるはずの大統領が司法判断で実質決まった。これが米国流。法の場に持ち込むのが当たり前。それでも国民はこの選挙結果にスッキリしたわけではありませんでした。大統領就任式で暴れた国民もいました。
選挙はやはり票を正確にカウントしてそれだけで決めるのが本来の姿と思います。今回も民主党内の話し合いで市長候補が決まった感は否めません。民主主義を謳う米国。実は官僚の権利が最も強い国かも知れません。
Election Day 2013 年 9 月 14 日
ニューヨークの市長選が始まりました。最終の市長選は11月に行われますが、数段階を経て市長が決定します。その中でも最も大切な選挙が9月の今週に行われたPrimary(プライマリー)です。米国の2大政党はDemocrat(民主党)とRepublican(共和党)。それぞれに複数の市長立候補者がいます。
このPrimaryではそれぞれの党から1名の市長候補を選出し、本番の11月に党の代表候補者として市長当選を目指して戦うと言うものです。
特に民主党では候補者が乱立し、行方のわからないPrimaryとなりました。本命とされていた現市長ブルーンバーグに近いChristine Quinn女史は予想外の転落。Primaryのトップに躍り出たのはBill De Blasio氏です。40.3%の得票率を取ってPrimaryを制しました。日本ならこれで終わりですが、米国の選挙はこのままで終了ではありません。
50%以上の投票率を確保していないのは本当の指示ではないとみなす米国は、半数を超えない場合、2位との決選投票を行います。もちろん、2位の候補者が決選投票を辞退すれば決選投票なしでPrimaryは終了し、本選挙へと進むことができます。この決選投票を英語でRunoffと言いますが、1位が40%を切れば強制的に決選投票となります。
Bill De Blasioの場合、40.3%とかろうじて強制的決選投票を免れています。2位のBill Thompsonは26.2%ですが諦めません。10月の決選投票にのぞむつもりです。
ここでこの情勢を更にややこしくするのが投票の確定です。実は今発表されている投票の他にまだ未開封の投票があるのです。まだ開封されていない選挙地区や不在投票など70,000票を超えます。
100%近い投票の結果だからと当日、発表になった投票率で新聞もBill De Blasioも1位当選を報道していますが、この未開票の分が開封されれば1位のBill De Blasioが投票率40%を切りRunnoffの決選投票に強制的になる可能性もあるのです。民主党は党内で意見が割れるのを嫌い、2位のThompsonに今のうちに決選投票を辞退するように求めていますが、納得がいかないのはThompson。最終の投票結果を見て判断すると言っています。
日本なら投票日の未明にはすべての得票数がきちんと発表されるのですがNYの投票は不在投票などはあとでカウントするように法律で決まっています。何か不都合でそしてファージーな中でものが決まっていく、いかにも米国らしい気がします。
ニューヨークではElection Day(選挙の日)は火曜日と決まっています。昔、農家が多かった時、水曜日は市場、日曜日は礼拝、遠くの人が馬車で駆けつけても間に合うようにと日曜日と火曜日の間の月曜日に移動のゆとりを設けて火曜日となったそうです。今では平日は投票率が下がると休日の選挙日を求める声も多いようです。
US Open 2013 年 8 月 27 日
ご承知のようにテニスの4大大会はオーストラリアオープンに始まり、フランスのフレンチオープン、イギリスのウィンブルドン、そして最後が米国のUS Openです。
月曜日からUS Openテニスが始まりました。US Openはニューヨークで開催されます。勿論、マンハッタン内にはそんな土地のゆとりはありませんので試合会場はKing夫人の名前をとった Bille Jean King National Tennis Centerです。このテニスコートはマンハッタンの中心地から地下鉄で30分強位のクイーンズ地区に位置します。大リーグMetsの本拠地 City Fieldに隣接したCorona Parkと言う公園の中にあります。今、ニューヨーク市ではこの公園内にサッカー場も作ろうと計画しています。一体がスポーツ施設の公園となる計画です。
さてUS Openテニスですが、昨年は70万人の人がこのイベントの観戦に訪れています。世界の一流プレヤーを間近に見ることができるのですから米国内の他州からはもちろん、世界各国から多くの人が訪れます。会場内に入るにはセキュリティが厳しく、バックの大きさなども制限されています。
センターコートはArthur Ashe Stadium 、ランキングが上位の選手はここでプレーをします。次に大きなコートはLouis Amstrong Stadium、ここもランキング上位の選手がプレーをします。Arthur Ashe Stadiumは指定席となっていますが、Arthur Ashe Stadiumを除く21のコートは指定がなく Grand Admissionと言うチケットを購入すればすべてのコートの試合を見て回ることできます。一流選手のプレーを本当に間近で見れてしまいます。多くの人が数ゲーム毎にコートを替わり色々な選手のプレーを楽しむと言うちょっとしたお祭りムードです。
もちろん、終盤は勝ち組だけが残りますからLouis Amstrong Stadiumも指定席となり、上位選手の試合を観戦することになります。ニューヨークは野球、ゴルフ、ホッケー、バスケ、アメフトそしてテニスとあらゆるスポーツを1年中楽しめます。このUS Openテニスが終わるころ、気温もぐっと下がりニューヨークに秋を感じます。
広域通信制高校一ツ葉高校 校長
Eシガレット 2013 年 8 月 1 日
ご承知の通り、ニューヨーク市でタバコを吸うことは大変です。まずタバコの値段が高い。1000円近くします。またBloomberg市長の健康志向、と言っても市の財政にかかる病院の経費を抑えようと言う別の目的も兼ね備えた健康志向ですが・・。それでも市長の強いリーダシップのもとでタバコを吸える場所は次々と消えていきました。まずはレストラン内は禁煙にはじまり、次はバーが禁煙。寒い中、バーの外でタバコを吸っている人を良く見かけました。次は建物内でのたばこの禁止。そして公園でもタバコを禁止。TVで流れるコマーシャルは必要にタバコの害を訴えるもので、タバコで癌になった人たちの悲痛な訴えや手術のシーンを流します。
この効果のおかげでニューヨーク市内でタバコを吸う人を見かける機会は本当に減りました。と言っても米国全域がニューヨーク市のようであるわけではありません。ニューヨーク市内で車内でタバコを吸う人は見たことがありません。タバコを吸いながら運転する人など皆無です。ところがペンシルバニア州のような地方に行くとタバコを吸っている人も多く、くわえ煙草をしながら運転している姿もよく見かけます。ゴルフ場に行ってもグリーン周りに時々、タバコの吸い殻が落ちていたりします。
このようにタバコ禁止、に力を入れるニューヨーク市ですが、Eシガレットはどうなのだと言う論議が最近活発です。日本でも売られている電子タバコです。煙でなく、蒸気を出すことから周りに迷惑をかけないと言うふれこみです。吸っている本人には全く無害と言うわけではないと言う説も多々出ていますが・・。
この電子タバコ、ニューヨークで吸っている人を良く見かけます。先般レストランに入った時に電子タバコを吸っている人を見かけて、電子タバコは禁止されていなんだと思いました。そうそうするうちに地下鉄や列車でも電子タバコを吸う人が出てきて、地下鉄やバスを運行するMTAは電子タバコの禁止を公言しました。ニューヨーク市の禁煙条例は電子タバコには適応されません。あとは各社の判断によるものです。スターバックも電子タバコを認める店舗とそうでない店舗があるようです。レストランも同じです。確かに電子タバコには嫌な臭いはありませんが、レストランの横の席で蒸気でも煙みたいなものをプカプカやられるのは心地よいものではありません。食事の最中くらい、やめたら?と思ってしまいます。
Small Court 2013 年 7 月 26 日
米国の弁護士の数は日本と比べて破格に多いです。日本より訴訟の数が多いと言うことと、移民が多いため、移民法に関わる弁護士が多いのが理由です。何かもめごとがあるとすぐに訴訟に持ち込むのが米国の特性。その際は弁護士に相談せざるを得ません。弁護士も競争が激しく、TVでのコマーシャルも頻繁です。移民の問題可決を売り物にする弁護士、事故や医療訴訟の代行を売り物にする弁護士、さまざまです。弁護士料金はその事務所によって様々ですがニューヨークの相場は1時間の弁護士料が400㌦前後(4万円)くらいです。電話で話しても請求額はかわりません。弁護士の時間をいくら使ったかによってその時間数とともに請求されます。何か問題があって訴訟騒ぎとなると、裁判経費や賠償支払いなどより弁護士代の方が大きくかかってしまう場合も少なくありません。
すぐに訴訟する、と言うのは米国人の気質と言うより、この米国社会での慣わしの気がします。正義の決着は第3者につけてもらう。家賃の滞納やクレジットカードの滞納なども訴訟されます。この類は訴訟の前に料金回収会社から通知があり、それでも料金を納めないようなら訴訟すると言う流れです。このように訴訟ケースが多い事情の中、比較的小さな事例を取り扱うSmall Courtと言う制度が米国にはあります。正式の裁判のように弁護士も通すことなく直接、裁判所に料金の回収などを訴えるケースです。ここで取り扱う事案は3000㌦以下(30万円以下)と決められていますので大きな事案は提訴出来ません。
決めれた日に当事者同士が言って事情を申し立てたり、証拠を提示したりし、裁判官が判断を下すというものです。下された判断はその後、裁判所から書面が送られてそれに従うと言うとても簡素なものです。もちろん、民事だけを取り扱うので刑罰はなく、判決は支払い命令か、支払いの必要なしとのことだけです。一見便利そうに見えるこの制度ですが、通常の裁判も多いニューヨークでは昼間は通常の裁判があるためにこのSmall Courtは夕方6時過ぎからとなっています。また、このSmall Courtでの裁判件数が多いために6時に呼び出されて、自分の番が11時近くになることもしばしばです。
裁判に頼る決着、すすんでいるように聞こえますがやはり大変です。裁判にする前に問題解決を双方で行う方が賢く思えます。
広域通信制高校 一ツ葉高校 校長
デモ 2013 年 7 月 15 日
日曜日に全米中で大きなデモが起こりました。ニューヨークでもハーレム、タイムズスクエア、ユニオンスクエア、ブルックリンのダウンタウンで何千人と言う人がデモを起こしています。
先日、フロリダでの黒人少年を射殺した白人男性に対する無罪判決によるものです。米国の一部の州ではパトカーが破損されるなど破壊行為もみられます。
前にも書きましたが、この事件はフロリダの自警団の白人男性George Zimmermanが不審な黒人少年を見つけたとし、警察に通報した後、この黒人少年を追跡、その後、乱闘となり、射殺したものです。黒人の少年は17歳、キャンディーの袋を持っていただけ、フード付きの服を着てフードをかぶっていたことから年齢もわからず、ますます怪しく見えたようです。
Zimmermanは駆けつけた警官に正当防衛を主張し、警察はそれを認め、逮捕せずに釈放しました。これは報道後、全米の関心を呼び、オバマ大統領までコメントを出しZimmermanは一転、逮捕され裁判が始まりました。
裁判中には黒人少年Trayvonの素行の悪さなどが暴露され、原告、被告とも激しい攻防を続けました。
裁判の大方の見方はZimmermanが不利、25年か無期の第2級殺人罪が適応されるだろうと言うのが一般的でした。
最終の判決は6人の陪審員で行われ、6人とも女性で母親、17歳の少年を殺したこの事件、ますますZimmermanには不利であろうとの見解でした。
しかしながら出た判決は無罪。これに怒りを露わにしたのが今回の全米中で起こっているデモです。
この事件は人種差別問題、銃規制と絡み、全米での大きな関心となっています。フロリダ州には Stand Your Ground Lawと言う法律があります。危険を感じたら銃を撃つことを認める法律です。事件が起きた当日、この法律によりZimmermanは人を殺したにも関わらず逮捕もさせず帰宅したわけです。
全米中で起こっているデモに不安を感じたオバマ大統領は米国は法治国家であって、国民は落ち着くようにとの緊急声明を出しました。ネットでも16万人を超える判決に対する反対署名が集まり、大変な騒ぎです。米国は過去にも人種問題、銃規制問題を何度も大きな騒ぎを起こしています。一度出た判決は覆ることはありませんが、検察は民事でも人権問題で争う姿勢を見せています。銃で17歳の少年を射殺して何の罪もないとは、正義とは言えない、と言うのは当然のように思えます。