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11月のニューヨークは、すっかり秋めいて紅葉が美しい季節。気温もぐんと低くなりそろそろ冬の気配を感じます。アメリカで最も重要な祝日と言うと、クリスマスと思っている方も多いでしょう。様々な人種や宗教が集まっているアメリカ、実は11月のサンクスギビング=感謝祭は宗教的な意味が無く、皆が感謝の気持ちを抱いて祝い、そして一番大切にされている休日でもあります。殆どの小中高校はThanksgiving Recess- 一週間ほどの休みとなり、感謝祭の当日から週末まで政府関係や銀行、郵便局も業務は停止です。社会人は休暇を取り、故郷の家族の元に帰って過ごす人が多く、この時期は空港も大混雑して正しく民族の大移動!ビッグアップルはもぬけの殻の様になります。

サンクスギビングについて少々ご説明しましょう。起源は1621年、当時ヨーロッパからアメリカ大陸にメイフラワー号(船)で渡ってきたPilgrim達(清教徒)は、荒れ地には食べ物が無く生きるのにも困難を極めていた時、ネイティブアメリカン-先住民が土地の耕し方や食料の収穫まで教えてくれた為、生き延びることが出来たと言われています。(これはあくまでも美談とも言われていますが、興味があればアメリカの歴史を勉強してみてください)収穫などに感謝をする意味から「Thanksgiving-サンクスギビング」が始まりました。感謝祭の休日は11月第4週目の木曜日と決まっていて、17世紀当時に荒れ野で見つかった僅かな食糧と言われているTurkey-七面鳥の丸焼きを始め、yum-ヤム芋、クランベリー、そしてデザートのパンプキンパイなどを頂きます。家族や親戚だけでなく、親しい友人を招いて一日中楽しく七面鳥などを食べるので、Turkey Dayなどとも言われています。そして翌日は、皆さんも良くご存じのBlack Friday-ブラックフライデー、クリスマスプレゼントを求めてホリデーショッピングが始まります。ニュースなどでご覧になった事があるかもしれませんが、年に一度の大セールがあちらこちらの店やモールで行われるので徹夜組も多く、セール品を求めて人が殺到したり中には小競り合いなどもあったりとちょっとクレイジーに見えるかもしれません。毎年同じような事をするのですが、これから年末年始まではホリデームードに浸って存分に楽しむ時期という訳です。

サンクスギビングは特に予定がなく、ちょっと寂しい気持ちになりそう?ご心配なく、当日はレストランなど開店している所もたくさんあるし、休日の間ビッグアップルに滞在していて英語をサビ付かせない方法もあるんです。今回は、楽しく過ごせて、アメリカ的なイベントも経験出来る方法をいくつかご紹介しましょう。 

感謝祭

  1. Macy’s Thanksgiving Day Parade / メーシーズのサンクスギビングパレード   

ニューヨークの感謝祭と言ったら、大手百貨店主催のサンクスギビングパレード無しには考えられない!と言っても過言ではないくらい、有名なパレードです。毎年全米ネットでテレビ生中継されているので、ご覧になったことがあるかもしれません。

1924年に始まったこのパレードは、今年91回目を迎えます。午前9時にセントラルパークの西側77丁目からスタート、南に沿って下り本店のある34丁目のヘラルドスクエアまでパレードは進みます。パレードには、巨大なバルーン、人気のキャラクターやヒーロー、アメリカでお馴染みのファストフードチェーン店や食品メーカーのキャラクター、更にパレード車やダンス(バレエ)のグループによる様々なパフォーマンスやマーチングバンドと盛り沢山。更に、前日にはBalloon Celebration(バルーンを膨らます作業)がスタート地点にて見学出来るので、ワクワク気分も一層高まりそうでしょう? 

このパレードを楽しむ為に、全米そして世界中から観光客も多数集まります。この日はテロ対策の為に武装した警察官と警察犬が、至る場所で厳しく目を光らせ警備をしています。交通規制があり地下鉄の駅からも見物客で大混雑するので、道沿いに観覧場所を確保したいのならビッグアップルでは必至、時間には余裕を持って出かけましょう。それから、ニューヨークは11月始めには冬の気候になるので、防寒対策も忘れずに。そして、パレードを楽しみながら、周りの人たちには気軽に質問したり声を掛けてみてください。ちょっとした表現を聞き取ったり、英語を学ぶにはとても良い機会になるに違いありません!

  1. Feeding NYC / フィーディングニューヨー: ボランティアに参加してみよう!

サンクスギビングは、すべての恵みに感謝の気持ちを新たにする日。この気持ちは、世の中の恵まれない人々や助けを必要としている人達に Giving Back-役に立つ事をする日でもあり、毎年この時期には、暖かい食事を無料で提供したり寄付などの様々なボランティア活動が行われます。感謝祭当日の二日程前から準備を始め、全米各地で貧しい人達や独り住まいの高齢者他を対象に、暖かい食事を振舞ったり各家に届けるボランティア活動には、子供から大人まで多数参加しています。

ニューヨークで英語を勉強している間に、アメリカの文化や伝統行事に参加したりと様々な経験をされていることでしょう。その貴重な体験をぜひ皆と分かち合ってみてくださいね

  1. Prospect Park Track Club Turkey Trot / ジョガーにおススメ、プロスペクト公園トラッククラブのサンクスギビングマラソン 

ジョギングやマラソンなど、走ることは好きですか?感謝祭には毎年恒例、プロスペクト公園トラッククラブ主催のサンクスギビング5Kマラソンが開催されます。このマラソンが超人気(?)なのは、何と言ってもその面白さ!参加者は七面鳥のコスチュームを着たりお間抜けな感じの帽子をかぶったり、基本的には何を着てもOK。または、サンクスギビングを皮切りに公式にホリデーシーズンの始まりですから、サンタクロースもウケそう。Trotとは鳥などが小走りするという意味ですから、このマラソン大会のネーミングに想像がつくでしょう。

ブルックリンにあるプロスペクト公園は毎年秋には紅葉が素晴らしく、走りながら景色を楽しんだり、ちょっと冷たいけど新鮮な空気を感じながら走れるコースでもあります。ジョガーたちには超おススメのこのコース、可笑しな恰好をしたら参加者達との英語の会話も弾むに違いありません!

  1. NYC Pilgrim Pedal / ニューヨークピルグリムペダル 

交通渋滞が日常茶飯事のビッグアップルでは、自転車を交通手段にしているニューヨーカーがたくさんいるのをご存じでしょう。ジョギングやマラソンが苦手という方には、自転車によるツーリングはいかがでしょうか?

BikeとはBicycle-自転車ですから、ピルグリムペダルとはサンクスギビングに因んでつけられた名前だと分かりますね。感謝祭の日の朝にスタートし、マンハッタン、クイーンズ、ブルックリンを通り、自転車で往復24マイルを走るコースです。こちらも参加者はコスチュームOK、再度ターキーハットを被っちゃいましょう!そして、往路12マイルをツアーしたブルックリンのレストランでは軽いランチを頂いて、復路12マイルのエネルギーを補給しましょう。そうそう、これは自転車のレースではありませんから、ビッグアップルのちょっとクレイジーなバイカーと競う必要はありません。友達と一緒に周りの景色を満喫しながら、自分のペースでサイクリングを楽しんでくださいね!


秋は、私が大好きなフットボールのシーズンです!アメリカで大人気のスポーツと言ったら、野球、バスケットボール、そしてフットボール。初めてアメリカに住んでいるのなら、アメリカンフットボールはあまり馴染みがないかもしれません。ヨーロッパなどでは、フットボールは「サッカー」の事ってご存じでしたか?

フットボール

実は、私はフットボールの大ファン。子供の頃スポーツが大好きで、親に頼んではいろいろなスポーツの試合に連れていてもらったものです。自分の周りにはフットボール好きの女子なんてあまりいなかったので、ちょっとodd(strange)-変な女の子と思われていたかも。そして大人になるにつれ、スポーツ好き女子というのはある意味友達作りには役立っていたような気もするので(もちろん、どのチームを応援しているかによっては敵にもなりましたが)、スポーツ、とりわけアメフトが好きというワケです。

ここで、アメリカのフットボールについて少々ご説明しましょう。全米のプロフットボールリーグ-NFL (National Football League)は、AFC (American Football Conference) とNFC (National Football League) がそれぞれ16チームあり、9月から12月のシーズン中に試合を行います。そして勝ち抜いたチームが1月にプレーオフ戦を行い、最終決戦は2月、かの有名なSuper Bowl で対決となります。スーパーボウルは全米ネットワークだけでなく世界中でも放送されるので、皆さんもテレビでご覧になったことがあるかもしれません。また、スーパーボウルは日曜日に開催されるのでSuper Bowl Sundayと言われ、全米がテレビにクギ付けになる日。スーパーボウルの為だけに制作されたテレビのコマーシャルもあったり、何とポテトチップやピザ、ソフトドリンクやビールの売り上げが年間トップとも言われています。アメフトのファンがどれ程ゲームに熱狂するか、想像がつくでしょう!

さて、ニューヨークには、「New York Giants- ニューヨークジャイアンツ」と「New York Jets- ニューヨークジェッツ」とプロフットボールのチームが2つあります。それぞれのチームをちょっとご紹介しておきましょう。

*New York Giants: ニューヨークジャイアンツ、1925年創立/ チームカラーはブルー、レッド、ホワイト、ロゴはGiantsのG、ニックネームはBig Blue, G-Men、または Jintsなど

2011年のスーパーボウルの覇者であるジャイアンツは、過去4回の優勝経験を誇る強豪チームです。今だに興奮冷めやらずの熱烈なファンもいますが、ちょっとここ何年かの成績は今一つ。今シーズンはどうかと、ファン達が見守りながら活躍を期待しています。

*New York Jets: ニューヨークジェッツ、1959年創立/ チームカラーは緑と白、ロゴは JETS, ニックネームは Gang Green

ジェッツはジャイアンツほどの強豪チームではなく、またここの所ちょっと元気がないみたい。でもファンが “J-E-T-S!” といつも大きな声で声援を送っています。

そして、ちょっとユニークなのは、ジャイアンツとジェッツはそれぞれのホームスタジアムは所有しておらず、ニュージャージー州のイーストラザフォードにあるスタジアムを共同で使用しているということ。時として両チームのスケジュール調整が難しそう?でも、敵同士でも何とかなっているようです。興味があったら、ネットでサーチしてみてください。

皆さんには、野球のメジャーリーグとニューヨークのチーム、そして春の野球シーズンについてお話ししたことがありましたね。ニューヨークのファンは実に熱狂的、それぞれのお気に入りのチームには忠誠を誓っていることも説明しました。そして、フットボールも同様、ファンはかなり熱狂するんです。試合が行われるのは主に日曜日ですが、休日や祝日により他の曜日にも試合があるとその賑やかさはかなりのもの。特に日曜日にゲームがあると、ニューヨークの”騒音“は普段の何倍にもなるので、月曜日に早起きしなければいけないのなら耳栓をして寝た方が良いかもしれません。

そんなに熱くなって応援しているフットボールの試合なんて、うるさくて興味無し?でもこれもスポーツ関連の英語を勉強するには、良い機会なんです。実際に試合を観戦しながら、思い切って周りにいる人達に声を掛けて、どんな風に応援しているか教えてもらいましょう。(もちろん、夢中になって観戦しているのでOKしてくれたらですが)

試合中今一つ用語が分からなくても、言葉一つ一つに捕らわれず、リラックスして選手の活躍や試合その物を楽しんでみてください。いつの間にか、皆と一緒に応援している事でしょう!


現代は、ほぼすべてがデジタル化されている時代。Digital Natives-デジタル世代と言われる若者だけでなく、私達も日常生活では携帯電話やスマートフォンを握りしめ、メディア、コンピューター、タブレット端末にコネクトして、情報など何もかもが瞬時に手に入ってしまいます。そして今、(ペーパーブック- 紙の本ではなく)本と言えば、専用のタブレット端末に作品をダウンロードして持ち歩いたり、移動中やお風呂に入りながらも本が読めることが出来る、確かに便利な時代にはなりました。

independent bookstore in new york

個人的な話になりますが、本は実際に手に取りその感触を楽しみたい者にとって、デジタル文化は少々寂しく、また物悲しい感じもするのも確かです。かつて英文学を専攻していた学生時代、紙の本に触れて勉強出来るのは心地良く、書物はまるで自分の子供の様な気がしていました。ニューヨークに移ってからは、市内の大手の書店ではなく、小規模の本屋さんを歩き回って見つけていたのですが、本を購入などする事により、ペーパーブックや雑誌の出版社をサポートしている気がする訳です。

あらためて説明する必要はないかもしれませんが、英語で本を読むことは英語の練習、特に読解力を強化するには最高の方法です。本のジャンルを選ぶことにより、それぞれの作品について学べるし、更には作品の言葉のやり取りも学べるでしょう。今回は、ニューヨーク市内の書物を探すだけでなく、おしゃれでゆっくり過ごせる、独立系の書店についてご紹介しましょう。

  1. Strand: 828 Broadway / ストランドブックストアー 

まず最初に、私のお気に入り、グリニッジレッジにあるストランドブックストアーをご紹介しましょう。1927年創業の老舗的な書店で、外観は何て事のない街角によくあるような建物ですが、一歩お店の中に入るとまるで別世界。3つのフロアに渡り、書物だけでも何と250万冊と18マイルにもなるという品揃えで、ジャンル分けにされた新書から古本や専門書まで、書籍類が豊富であるということで人気があり、書店の名前の由来が strand-(立往生)という意味なのも理解出来ますね。更には、オンラインでは見つけられない希少本や、絶版になってしまった本もここでは手に入る確率が高いのも大きな特徴。嬉しいことに、ちょっとしたギフトになるような雑貨やストランドのロゴ入りのグッズも揃っているので、見て回るだけでも楽しそうで人気が高いのも頷けます。本好きの人達だけでなく、ニューヨーカーの憩いの場にもなっているストランドブックストアーに、ぜひ一度足を運んでみてくださいね!

  1. 192 Boooks; 192 10th Avenue  / 192ブックス

ストランドブックストアーよりも静かな環境にある192ブックスは、個人で所有しているような図書館と言った感じの本屋です。こちらも、古典文学の品揃えでは称賛すべき書店と言えるでしょう。ちょっとユニークなのは、所有者達が美術系の経歴があり、文学と美術の堅実的なコラボが感じられること。また、様々なイベントが行われていて、人気作家の作品を独特な方法で語られる読み会なども開催されています。一人で書物に浸りたい気分の時は、携帯電話の電源を切って、こちらの書店で静かに過ごしてみてください。 

  1. McNally Jackson; 52 Prince Street / マクナリ―ジャクソン ブックストアー

ニューヨーカーにはMJと呼ばれ親しまれている書店は、ノーホー地区にあり、比較的新しく2004年創業。マクナリージャクソンブックストアーはそれ程広大ではありませんが、店内にはおしゃれな照明や多数の書籍類、そして雑誌のバックナンバーまでと豊富な品揃えを誇ります。この書店の特徴は、自費出版が出来るという事。ですから、その点がまた人を集める理由とも言えるでしょう。もう一つの人気の理由は、ちょっとした軽食メニューがあるカフェが併設されていること。個性的で多数ある書物のセレクションを探しながら、お好みのドリンクを手にゆっくりと過ごされてみてはいかがでしょうか。 

  1. Books Are Magic; 225 Smith Street (Brooklyn) 

ブックス・アー・マジック 

最近ブルックリンにオープンしたこの「ブックスアーマジック」は、個人的に気に入っている書店です。元の所有者達が大手のコーヒーチェーン店ではなく、本好きな人達が楽しみながら書物を探したり、また憩いの場にするべく創業したと言われています。まだ新しい書店ですが、既に人気が高く、書店のオーナー達は毎週様々なイベントを開催、作家を店に招いての読書会や、市内に新たに本屋を開業したいという人達の役に立っているようです。

皆さんが、私のように本を読むことが人生において無くてはならない物でしたら、書物は手にすることによって(触れることにより)人とつながっていると気付かさせてくれる―その様に大切なものではないでしょうか。ニューヨーク市内には、大型の書店から小規模の古本屋までと、実に多くの書店が点在しています。ニューヨークに住み始めて間もないのでしたら、いろいろな書店を探されてはいかがでしょうか。宝にも勝る書物に出会えるかも知れません。